当初、聖刻シリーズに進んだ飛び道具が存在しなかった理由は単純です。
人型巨大兵器が戦場で役に立たないことは、当時すでに明らかだったからです。まああと、基本殴り合いの方が面白かろうって判断もあったわけですが(こっちの方が大きかったかも)。
物質の強度って限界があるんで、どんなに最先端の素材を使っても、音速近い速度ですっ飛んでくる徹甲弾を止められる現実的な装甲ってないって言い切っちゃっていいんですよね。厚くすれば、そりゃどんな一撃だって止められますけど、1メートル厚の装甲の操兵なんてちょっと考えればお分かりの通り、いくらなんでも無茶に決まってます。仮に全身をそういうので覆えたとしても、関節部分は間違いなく装甲が薄くなるので、そこが壊れて終わり。
そりゃあ火薬禁止にしたくなるってもんです。
そのひとつの解が、ダンバインのように特定の場所では火薬の破壊力が低下するというものですが(あるいはオーラ力で核兵器にも耐えちゃうとか)、それじゃあまさにダンバインになっちゃうんで(マネっこだーって言われちゃう:当時)、単純に火薬がない世界にしたわけです。まあ他にいくらでもやりようがあったとも思いますが、それは後知恵ってもんで。
大地で解禁したのは、操兵が希少なものではなくなったこと、中世ファンタジー的な世界はすでに別のシリーズで確立していること、新機軸が必要だったことなどがあります。これは前にも書きましたね。
また、近代戦でも歩兵が必要不可欠な存在であるように、火器が多用されるようになっても、歩兵(この場合は操兵ですが)が不要になることはないと思われるからです。本当の意味で装備が近代化されればわかりませんが。操兵でかくて邪魔ですからね。
身も蓋もない言い方ですが、大地の操兵の位置付けはATです。ウォーカーマシーンと言ってもいい。もちろん、ファンタジックなイメージはそのままですが、そこはそれ、前から何度か書いているように、ちょっと仕掛けも用意してあります。
それが気に入ってもらえるかどうかはわかりませんが、既存の聖刻世界の延長線上でやれることをやってみたという感じです。
日下部匡俊