遅くなりました。言い訳はしません。ただ、いまオレのスマホは、画面を睨み付けると鍵が外れる仕様だぜ。

グリム民族の話。
アハーン大陸西方の南部(というか位置的には南東部)に暮らす民族がグリムと呼ばれる人々です。西方全体に広く分布するアハル人とはまったく発祥が異なり、彼らこそ自然発生した人間の末裔ではないかと考えられています(アハル人は古代の超人による被創造物とされている)。
グリム人は体格が小さく、日照時間の長い南で長く暮らしてきたため、肌の色が濃いという特徴があります。比較的平板な顔つきのアハル人やフェルム人たちと異なり、彫りが深く、体毛が濃い傾向です。体毛の色は焦茶〜黒が大半で、例外的に銀色や金色の人間も見ることができます。
こう書くと、グリム人はかなりいかついという印象を受けそうですが、そうでもありません。体格が小さめとはいえ、アハル人との平均身長差はせいぜい4センチ(1リット)程度で、中には2メートルを超える人間もいますし、彫りの深さは東方南部の人々との間に共通点を見いだすこともできます(ガルン・ストラなんかと同系統)。おそらく、東方南部の人々とは近縁関係にあるのだと思われます。体格がかなり違いますが。
アハル人の繁殖力に比べると、グリム人たちはその三分の二程度で、過酷な環境もあいまって人口は全西方のフェルム人のさらに半分程度でしかありません。

ちなみにモニイダスやスカード島の人々は例外的にアハル人です。現在の旧アレイ・モアはグリム人に置き換わってますが。

なぜグリム人が南部にしかいないかといえばこれは明らかで、昔は全西方で暮らしていたはずなのですが、軍神と巨人の戦いで地続きの北西部が壊滅した際に、奇跡的に被害の少なかった南部に暮らしていた人々が生き残ったからです。アハル人でさえ南部に逃げ延びたくらいなので、彼らに比べれば生命力の弱いグリム人は、南部以外の地域から一掃されてしまったのです。
しかし、グリム人はアハル人のように「神を持たない」(古代の超人の被造物のため)人々ではなく、なんらかの神の庇護を受けているため、より霊的親和性が高いと考えられており、練法師や僧侶などのように霊的存在と対話、操作する能力を持つ人間の比率が比較的高いとも言われています(ワースブレイドではそういう制限は加えてませんし、今後も関係ないと思いますが)。
現在の西方最大宗派ペガーナの最高位にいる僧侶はアハル人ですし、これもならすとそういう傾向にあるという話でしかありませんが。つまり、グリム人の方が「見える人」が多いってことですね。

ゴーラン結社なんかはグリム人の組織ですし、異能の持ち主はグリム人が多いようです。

日下部匡俊