もともと〈聖刻〉は仮面だけではありません。聖刻シリーズで、仮面以外の形状の聖刻が出ていない(厳密に言えば、1092で黒の僧正が仮面ではない聖刻だが、それを言えば〈真・聖刻〉はどいつもこいつも規格外なので)だけのことです。
ワースブレイドの口絵では、石板状の物体が練法師と思しき人物とともに描かれていますが、あれも聖刻の一形態です。
つまり、理屈上は、石板を小脇に挟んだ練法師がいてもいけなくはないし、もっと言えば、仮面以外の聖刻によって駆動される操兵もあって不思議ではないのです。
操兵は形状も重要です。それは、仮面の中の意識が、自分を人形だと認識するように刷り込まれているからです。操兵に使われる仮面はほぼすべて人形を意識するように作られているので、人形から大きく外れた形状になるとうまく動けないわけです。
では、人ではない形状を刷り込まれた機体は? 実はこれが厄介で、獣の形状だと獣の意識が刷り込まれてしまいます。頭のいい獣ってのはなかなかいないので、獣の形を刷り込まれたものが存在しないのはこれが理由です。
でも、たまに古操兵なんかに獣の操兵なんかがいて、そいつはちゃんとしてたりします。不思議不思議。まあ、古代の操兵だからって獣の形をした操兵はそんなにいないので、きっとコントロールしやすいのは人形だって大昔からわかってたんだと思います。
そういや、狩猟機1092の聖刻は仮面じゃないんですよね。聖刻は仮面の裏側にある石板で、仮面はその制御を司ってるんだったかな。
これ以外の操兵ですべて仮面の形状になっているのは、やはり人形をコントロールするには人の身体の一部の形を取るのが一番効率が良かったからなんだと思われます。
効率大事。
日下部匡俊