これはあくまでワースブレイドに限った話ですが(一応全体に通じる話にはなってるつもりですが、千葉作品やその他のシリーズではいつ変わっても不思議ではありません)。
ワースブレイドには、代表的な神的存在としてぺガーナ8柱があります。一応、ゲームや物語に登場する神らしい神はこれと黒竜神くらいのものですが(8神はいるってだけでセリフもなに考えてるかも一切出ませんが)、作中で示唆されている通り、この世界は無数の神々が均衡を取り合って存在しています。
神々は世界を構成する要素というか、原理を支配する、あるいは原理そのものという解釈なので、この神々の力関係が崩れたり、新しい要素が加わったりするだけで、世界そのものがぐちゃぐちゃになる可能性があります(物理定数がいきなり変わったら、今まで通用してた理論や法則が通用しなくなるじゃないですか。それです)。
デイル編(剣の聖刻年代記1〜10)はまさにこれが肝だったわけですが。

神々の前に人間は無力に思えますが、実はそうでもありません。人間の動きが、神々の命運を握っていることも珍しくないのです。
地上は天界の鏡写しのようなもので、地上が乱れているときは天界もおかしなことになっているのです。デイル編で星を読んで未来を予知している連中がいますが、そういう理屈です。
具体的には黒の帝国のマルガル、ゴーラン結社の連中、リッシュ・マナーのマーン・ボダイとか、ああいった手合いです。連中は直接顔を合わせたことはほとんどありませんが、お互いの予知の中にお互いの存在を読み取っていて、親密な友人かそれ以上にお互いのことを知っています。だから、あんな風にまるでお互いに全部わかってるよな? 的な口ぶりで会話してたりするわけです。テレパシーっぽい通話手段で。

そんなわけで、デイルはあんな感じで行動して、結果的に世界の破綻を救いました。本人は惚れたねーちゃんを助けるために、情動的に動いただけですが。まあそれもこれも、彼に託された役割だったわけです(その後、結局彼が寝首をかかれたかどうかはわたしも知らない)。
でもって、これは世界に迫るさらなる危機の予兆に過ぎませんでした。
デイルは役目を果たしました(ショク・ワンとかも)。さてでは、彼らはどうでしょうか?

ってのが『剣の物語』なんですけど。

日下部匡俊