ひみつけっしゃ。
これがないと、聖刻シリーズに限らずお話が盛り上がりませんよねえ。最大の利点は、目的も正体もわからないまんまでお話が進行できることです。身も蓋もない。
どんな目的で動いてるかわからないから、主人公サイドが迷う迷う。でもって、意外な目的が明かされるだけで何エピソードか消化できちゃう。うまくすればシリーズの山場にもできちゃうわけで。

聖刻シリーズでは、なんといってもこれの代表格は西方工呪会と東方聖刻教会でしょう。聖刻教会はその性質上、物語の表舞台に出て来やすいので、厳密にいえば操兵作ってる連中というか、仮面の秘儀を守ってる連中ってことになりましょうか。
工呪会は、年代記では意図的に謎の組織として設定して(1092ではもうちょっと表立って動いてる)いて、同年代が舞台のワースブレイドではヘタすると名前も出てこない(鍛冶組合という末端組織しか出てこない)状態で30年経過してしまいました。
かといって、ネタバラシできるような何かがあるかといえば特にないんですが。

工呪会は、操兵を西方の地で均衡を保ちながら普及させ、操兵による軍事力の超長期間における整備、育成を目的として活動している組織で、最終目標は聖刻教会の操兵と戦って勝利を収めることです(教会は当然ながらその逆)。これを運営しているのが何者で、そもそもどこから始まったのかという点においては、1092なんかの大仕掛けでもあるはずなので、あえて書きませんが。これが30年引っ張ってるところなんだけど。
そうです、工呪会(聖刻教会も)は、扱い的には八の力と同列なのです。つまり、あらゆる平行世界において、本質を保ちながらあまねく存在するもの、なのです。彼らは聖刻そのものと深く結びついていて、次元を超越しているのは彼ら自身の持つ力によるものです。
いやこんなネタ公開したって、聖刻シリーズに与える影響はそれほどでもない(大仕掛けすぎて、逆にシリーズに関わりにくい)んですけど。そしてこれ自体は、かなり初期からあった設定で、むしろなかったことになる可能性も結構あったりして、それでなかなか公表できずに来たのです。
ここまで来たら、そしてまあこの程度なら公開してもいいかなって時期だと思うんで、もうここで書いちゃいますが。
そして、ここに書いていることなので、厳密な意味では正式ではないというのもミソ(別のコーナーで書いたら正式と思ってもらってもいいワケですが)。

こういう設定関係って、お話の進展によってコロコロ変わるものだったりもして。なので、今後発表される作品で、今回の内容と矛盾するものが出て来ても、むしろそっちの方が正しいのでご注意を。
いやこれ大事なことなんで。この辺は筆者が一人じゃないっていう点で難しいところですね。縛るんじゃなくて、素材として準備しておいて、使う自由は書き手に委ねるという。そういうやり方です。

日下部匡俊