聖刻シリーズのキーアイテムは、なんといっても仮面でしょう。聖刻の大地ではある程度自由に製作できるようになる予定ですが、ワースブレイド(年代記)や1092/群龍伝でも工呪会や聖刻教会が製作法を独占していて簡単には手に入らないブツです。

仮面は聖刻そのものです。聖刻とは、64個の聖刻石を8×8に配置することで形成されるある種の呪術パターンのことで、この聖刻石の形成するフィールドは異世界からの力を直接引き出し、制御する機能を持っています。って書くと装置っぽいですが、これは意思を持っていて、使う人間を選り好みします。つまりキャラクターなんですね。
低位の仮面はぼんやりとした意識しか持たないので、いい具合に機嫌よくできれば(つまりいろんな呪術パターンや装置による刺激などによる)それなりに誰にでも従ってくれますが、中位以上の仮面になってくると完全に人を選ぶし、下手なごまかしはやっても無駄どころか機嫌を損ねかねないので、使い手(操兵なら操手、練法なら練法師)が合わせるしかないわけです。
どうやら、工呪会や聖刻教会の方でも、そんな仮面ばっかりじゃ困ってしまうので、加工の段階でどうにかできないかと試行錯誤しているようですが、少しでも作為が入ると仮面が機能しなかったり、聖刻石そのものが死んでしまうこともある(聖刻石は単なる鉱石ではなく、生物のような振る舞いを見せる)ので、結局旧来の作り方でやっていくしかないようです。

ちなみに仮面の製作法は各組織において機密中の機密で、入手しようとして命を落とした密偵や物好きは数知れません。工呪会は本部の位置すら知れていませんし、聖刻教会はわりと緩めに見えますが、操兵製作に関しては教会の高僧たちですら詳しいことを知っている人間はいないようです。例外は法王ですが、彼でさえ技術の詳細を把握しているわけではありません(あ、1092のは知らない)。

聖刻の大地では、聖刻石と仮面の基本構造さえ手に入れば、それを組み合わせて自由に仮面を製作できます。基本構造は精密に作らなければ動作しないので、個人が新規に作り起こすのはほぼ無理のようです。研究は進められているし、粗悪でいいならそのうちそれらしい代用品が出てくるんだと思いますが。
聖刻の大地はスチームパンクに近い設定を採用していますんで、科学技術を究めればなんとかなるっていうスタンスでいけると思います。もちろんだからってすぐに便利アイテムを作れるってことではないですが、知恵と勇気と努力と汗が道を切り開く世界であることは間違いありません。

てわけで、やっとこさ第1話書いてます。すいません。小説形式のイントロですが、内容的にはむしろ今まで公開してきた解説つきのあれに近い形になると思います。
よろしくお願いします。

日下部匡俊