聖刻シリーズをご覧になるのが初めての方は、『聖刻シリーズとは』、『聖刻日記 #3』、『聖刻シリーズ 基本用語解説』などをご一読いただければ幸いです。
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西方の中央部にはラ・ムクト(ラムクトとも)と呼ばれる巨大な山脈があります。放射状に広がる険しい山岳地帯のせいで、操兵はこの山々を越えることはできません。操兵の不器用な歩みでは、物理的に突破できない地形が待ち構えているからです。猛烈な寒さもありますね。常時動かしてないと冷却水が凍っちゃうくらい。
じゃあ、人間が自分の足でならどうかと言えば、われわれの世界のように手軽に利用できる飛行機械もなく(途中まではそれで行けるので)、なんとかベースキャンプを築いても山中には生態系を無視した凶悪な生物がごまんといるので、ちょっとした要塞を準備しないととても安全は保証されません。で、そこまでしてこの山に分け入る意味があるのかと言えば、南部に行くなら西を回り込めばなんとかなるし(距離が短いといっても、かかる時間は同じくらいだし)、山の上にあるなにかを探しに行くといっても、この山には強烈な守護者たちがおりまして、彼らの目を盗んで隠されているかもしれない財宝を盗み出すのはほぼ不可能と言えます。
この守護者たちがリッシュ・マナーと呼ばれる僧侶たちです。山そのもの(神としてではなく)を信仰の対象にする山伏のような連中です。そこはドルイドだろと言われそうですが、雰囲気は明らかに山伏と言ったほうがしっくりくると思います。
彼らは強力な〈気功〉の使い手です。彼らがラ・ムクトの上にいる限り、操兵だろうが真竜だろうが御仁(東方のツノを持つ巨人族。ツノが多いのはほぼ生き神さま)だろうが敵ではありません(八の聖刻は知らない(笑))。ラ・ムクトそのものを相手にしているようなものだからです。
なにせ軍神・巨人の戦いの余波を防壁のように防いだ山々です。神さまの名前もついていますし、普通の山ではないわけです。そこと霊的に繋がっているので、リッシュの人たちは山の上にいる限り無敵の力を振るうことができます。でも、それはあくまで山の上でのことで、そこを離れてしまうとただの人になってしまいます(気功使いとしては十分に強いですが)。それだけではなく、一度途切れた霊力は二度と戻ることはありません。
分け入るのも大変な高き峰々の上に、なぜこんな人々が暮らしているのか、詳しいことは知られていません。まあ実際、ワースブレイドではそこにいるってことは設定されていますが、実際にはなにも決めていません。
これから紹介する設定は『剣の聖刻年代記』でのローカルルール的なものです。
というわけで続きはまた明日。
日下部匡俊