そういや聖刻の大地のイメージっていまだに明示してませんでしたが、要するに「昔のオカルティックな遺産や知識がすっかり失われて、世は科学文明まっしぐら……と思ったら、あれれ、なんかおかしいぞ」です。
まあ、仮面が存在している時点で「オカルトは過去のものだ」もなにもないんですが、原理がわからないだけでなぜか動いてるものって存在はあっても、いつか科学の物差しで原理くらいわかるだろうって空気になってるので、オカルトは全否定の方向性は変わってません(だからこそはびこるオカルトもあるわけですが、これはまた別の話)。
まあ、聖刻だって既知の物理法則の範疇にないだけで、拡張された理屈の上でなら合理的に説明できるはずなんで。

ファンタジー語る上では野暮なことこの上ないんですけど、これはこの際さておくとして。

もっと言えば、練法師って恐ろしいまでに現実主義者なんで。オカルティックな力は使いますが、それ自体も理論的に捉えてますし。
そこらへんが、僧侶たちと一線を画しているところなんでしょう。彼らが大地にあんまり出てこない(少なくとも術使いとしては)のは、これが理由のひとつです。もちろん、昔のような力を出せないのが一番の原因ではあるんですが、宗教者としての僧侶は依然として存在し続けているわけで。

さて、ではこの大昔に失われたはずのオカルトを解析して、その本質を理解した連中が、現代にそれを取り戻そうと画策したら……?

ワースブレイド(年代記)なんかは神様が世界全体に干渉しまくってて、いろいろおかしなことになってるわけですが、1092の時代を通じてそれは次第に失われていき、幾千年経過した現在その残滓もほとんど感じられない。聖刻は、操兵という名の非力な機械人形を動かすためだけの道具となりさがり、それも次第に力を失いつつある中、古の時代の再生を望む人間が出てきても不思議ではないはず。
や、ただ昔の操兵を再現しようとか、失われた練法やら僧侶の術法をもう一度とか、そういう話ではなく。昔の世界を支配していたものはなにか。物理法則すら書き換えてしまう存在は、いかなる理屈の上に成り立っていたのか。
そういうことを真剣に考え、自分たちで実現する方法について考える人間が、それを自分たちの掌の上で実現する方法を思いついたとしたら……。
なんつーことをですね。

まあこんなものはただのバックグランド(の、しかも1要素に過ぎないの)で、単純に砂漠で操兵を乗り回し、大砲をぶっ放して要塞を攻略し——なんて話を楽しむだけでも全然OKでありまして、そもそもこれが本採用になるかどうかもまだわからないのですが、現状はこういう構想のもとに設定を進めているところです。

日下部匡俊