聖刻の大地では、操兵は小型化を遂げています。これは、出力対重量比を向上させ、ビームシールドによる絶対的防御力の獲得による近接戦闘の増加に対応して機動性を高め……るためではなく(どこのF91だ)、仮面が全然力出せなくなっちゃったので軽くせざるをえなかったのと、個人で操兵作るようになってきたので、扱いやすさを追求した結果、6メートル大というサイズに落ち着いたのです。
これより小さいと機構の精度と強度に問題が出ちゃって実用になりにくかったのと、できればでかいほうがいいという(相手がビビるから)考えが先に立ったせいです。たぶんもっと小さいほうがいろいろよかっただろうに、バカですね。

あ、関係ないですが、これでもガンダム関係の(サンライズでって意味ではなく)設定本とかの仕事やってたんですよ。マジでマジで。F91はあんまりやらなかったけど、一年戦争のとか、ゼータが最初の仕事だったしなあ。思い出すのも恥ずかしいですが。
誰でも駆け出しはどうしようもない仕事しかできないもんです。
そもそも伸童舎ってガンダム記録全集のための会社だったんで。まあそれは直接関係はないのですが。伸童舎の外での方がたくさんやった気がするし。

操兵鍛冶は、これは時代関係なく、鍛冶師なので当然材料から部品を作り出しています。鉄鉱石から鉄を抽出して、鍛えて整形するところまで。1092の詳細は千葉さんの頭の中なので断言できませんが、年代記の操兵はなんとびっくり、高級機を除いて大半が鋳鉄でできてます。鋳鉄って脆いんですよ。すぐ割れちゃう。操兵なんか鋳鉄で組んだらすぐバラバラになるのが本当なんですが、それを繋ぎ止めてくれてたのが仮面の魔力で、あとアクチュエーターにあたる筋肉筒なんかも、その柔軟性で緩衝材としても働いていました。
もちろん大地の頃の仮面には、そんな便利な力はありません。機体は全部鍛鉄で作っています。いい素材か、鍛え方はしっかりしているか、仕上げや組み上げはどうかで機体強度や動力性能の差がとても大きく出ます。名工の作は恐ろしく頑丈で単純にして軽量。扱いやすいけど本気でポテンシャルを引き出そうと思ったら、力のある仮面(要するに出力が大きい)や高性能な筋肉筒(大地のは特殊なゴムですが)が必要になると。
てわけで、大地の操兵は真面目に鍛冶師の開発物とかできる作りになってます。まあ出力は仮面頼りだし、当然空を飛べるようなパワーソースはないんで、地面を這い回る地味な人型機械の域から出ることはできませんが。
呪操兵がもしこの時代で出てくるのだとすれば、たぶん別口で練法を使うための魔力を用意された機体(イゼーラの髪飾りみたいに、聖刻石を燃料にして色々やる)になるでしょう。年代記のキードラ・マーフみたいですが、あれは機体が練法を使っていたので。そうではなく、おそらく聖刻器を操兵にセットしておいて、そこから放たれる術を利用するとかそういうのになるんじゃないかと。どっかで見たことがあるような気がしますが、普通に考えるとそうなっちゃうんですよね。まあ、火器がわりじゃ効率悪いんで、操兵のパワーを上げるとか、防御力を一時的に強化するとか、そういうのの方が面白いかも。
でもそれ、呪操兵じゃないよなあ。レイ、V-MAXだ! いやなんでも。

日下部匡俊