ここが初めての方は、『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』などをぜひ一度ご覧いただければ。
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ゲームつながりで、せっかくなのでワースブレイド(旧版)の話でも。
モダンなTRPGと比較すれば、残念ながら30年前のデザインと言わざるを得ないルールではありますが、当時としては画期的と言っても怒られはしないであろう野心的なルールを盛り込んだゲームでありました。
といっても、あの時期まだ国産TRPGは黎明期に等しい状況で、なにやっても新しくない方が珍しかったんですが。

ルールに関する詳細なコメントは、デザイナーであるTommy松本先生にそのうちたっぷり語っていただくとして、そういう部分では外野というかアシスト状態だった自分の目線で書きますが、とにかく当時最先端&シェアが絶対多数だったソードワールドとはプレイの印象が異なるものを目指していたことを覚えています(全部10面ダイスで処理してたのもその一環)。
結果的に、行為判定の繰り返しというTRPGゆえの根本的な枠組みの縛りから、結果的に似通ってしまった部分もありましたが、全体的にはむしろ意識してパラメーターの扱いなどを変えていました。

プレイ感はむしろ旧版のダンジョンズ&ドラゴンズ(赤箱とかのアレ)やトンネルズ&トロールズ(社会思想社版のアレ)のそれを参考にしていたところがありまして、LUCの追加ダイスなんかもろにT&Tのあの爽快感を再現しようとしたところがあったりしますし、キャラ作成や判定の容易さ(パラメータ+1d10+LUCd10を難易度と比較)は初期のD&Dレベルでなんとかしたいという発想がそのまま形になったんだと思います。
シナリオなんかも、とにかく急いで遊びたかったら、ラスボスに操兵に乗った悪いやつ据えとけばなんとかなるというような(四畳半ダンジョンと同じ発想)感じで行けるようにとか<それでスタートセットのあのシナリオかよ!

あと、よく、人間の筋力にあたるパラメーターがないことが話題になったりもしましたが、あれも人間レベルの判定はできるだけ簡略化するというのが根本的な発想にありまして、それがそのままルール化されたものでした。いやまあ、「操兵がいるのに、人間が力比べしたって五十歩百歩」という名言を確かTommy先生がのたまっていた記憶もあるんですが(あ、誤解のないように書いておきますが、ルールはTommy先生の独断で決まったものではないです。こっちからもかなり意見を出しましたし、それが通ったのもいくつもあったはず。なので、旧版ワースブレイドのルールは、当時のチームの総意で決まったものです。もっとも、Tommy先生の知識や経験を通じて提案されたルールなくして、ワースブレイドはなかったと言えますが。設定も含めて)。

や、操兵ルールで処理が面倒になるのはわかっていたんで、できるだけ人間はシンプルに、というのが最初からの方針だったのです。もちろん、細かい部分を見ていけば、この判定方法では辻褄が合っていないとか、かなりこじつけ気味に感じられる部分があったりもしましたが、スピード感というか、楽しむことを優先して組まれたルールがあれだったわけです。

なので、逆にロンメルゲームズさんの、割り切ってシンプルにまとめつつも、細かいこだわりへのフォローも忘れないデザインには賞賛しかありませんでした。あれぐらいきっちりしてると、正直見てて気持ちいいです。
いや、真面目にレギオン(仮)をコアシステムにしたワースブレイド見てみたいですわー。

日下部匡俊

あ、ちなみに、一応自分の記憶を頼りに書きましたけど、細部は違っている可能性も否定できません(本当に細かい部分だけだと思いますが)。そこらへん含めてTommy氏=先生や千葉先生にも話を伺いたいところです。