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正直、そろそろ暑いです。いや、また寒気が南下してくるらしく、この陽気はそうそう続かないようなんですが。
まさに三寒四温。異常気象が叫ばれる中、案外普通なのかと思ってしまいますが、よく考えるとこの時期20度超えは異常。

モノってのは案外凍らないし燃えないもので。液体窒素頭からかぶったらかっちんかっちんに凍っちゃうとかいう表現はよくありますが、実際にはハンマーで叩いたらバラバラとか、そういうことはないわけです。絶対零度に近い物質をくっつけられても、奪われる熱量には限界があるんで。ばしゃっとかぶっても、液体窒素に触れる時間はそんなに長くないので(しかも量も少ない)、身体の芯まで凍るわけがない理屈です。
同様に、数万度のプラズマを融点の低い物体に吹きつけても、瞬時にどろっとはいきません。いや、密度によるか。密度が大きければ熱量も大きくなるので。

勘のいい方は、もしかしてとお思いかもしれませんが、べつに『黄金の聖戦士』のラスト近くのアレの言い訳をしようってんじゃありません。

操兵は鉄の塊です。稼働中は熱くなりますが、しょせん冷却水が沸騰する程度のものでしかありません。この温度で鉄が歪んだり、まして溶けたりすることはないわけです。
この程度の温度の物体に対して、帝国の操兵が火炎放射器(作中では吐炎具)で連合軍の操兵を一撃で屠ってるわけですが、前述の話通りだとおかしいわけですよ。鉄の塊にむかって、何千度か知らないけど火炎吹きつけたって即効性はないだろうと。
が、火炎放射器って炎を吹き付ける道具っていうより、火のついた燃料を噴射するものといった方が正しいのです。燃料飛ばす方が到達距離が伸びるし、燃料だけ吹きつけて、あらためて着火とか応用がきくし。
なもんで、一見外界から遮断されているように見えてじつは隙間だらけの操兵には、案外有効な武器なのです。身体に火のついた状態では、なかなか操縦はむずかしいですからね。

じゃあ、みんなで火炎放射器装備すればいいじゃんってことになりそうですが、いくつか問題がありまして。一番大きいのは、燃料の確保。粘性がほどほどで(隙間に潜り込みつつ、すぐには流れ落ちない)、揮発性は低め(空中で蒸発されると困る)、でもほどほどには燃えるなんて状態に鉱油精製するの結構大変なんで。
射程が短いとかは有効性とバーターなんでさておくとしても、そもそも鉱油の確保が大変で、そこからさらにちょっとした化学プラント作って、いろんな場所にいる操兵に供給なんて、年代記レベルのインフラ考えるとちょっと絶望的な気分になれます。

でも、この技術は、十数年後、ある場所で大変絶望的な状況を作り出すことになります。このまんまじゃないんですけどね。これプラスいろんな方面(ヒント:超常)からの干渉があいまって、あんなことに(年代記からの超々ロングパスってのはこれもそのひとつです)。

ああいや、書こうと思ったのはこれじゃない! けど結構な量になったので今日はこれで。
最後の方の戯言は、拙著の予告みたいなもんです。うーん。小出しにするしかないのがなんとも。

日下部匡俊