お金。
聖刻世界では、鋳貨が流通貨幣の基本です。紙幣は紙葉自体が貴重品なのと、それそのものは紙葉以上の価値を持たないので、先進文明圏内(東方、西方の中心地域)以外では流通していません。そこででさえ、国に対する借用書程度の認識しか持たれていない感じです。

さて、鋳貨はおなじみ、金貨、銀貨、銅貨の3種類が流通しています(単位はゴルダ。交易路を利用する各国家共通)。このうち、基準となっているのは東方と中原の境界にある国家(時代ごとにフラバル、ハムル・ラバルなどの名称で知られる)が発行している鋳貨です。ワースブレイドではフラバル貨、大地ではハムル・ラバル貨と呼ばれるものがそれにあたります。1092や群龍の時代には失われていた時期もあるようですが、これは少し異なる事情によるものです(これについてはまた別の機会に)。
この地域やその周辺には、非常にすぐれた鉱山が多数存在し、それがもとで鋳貨を作るようになったのですが、そうした鉱山の埋蔵量が底をついた後でも過去に発行した鋳貨の水準を厳密に守り続けたために、ほとんどの時代を通じて基準となる貨幣となりました。

表書き通りの価値を持っている鋳貨は、このフラバル、ハムル・ラバル貨だけで、他の鋳貨はだいたい8割から、ひどいものだと5割程度の価値しかありません(鋳貨の純度はもう少しましなのだが、信用されていない)。ですので、交易路上での取引には、こうした基準鋳貨を使うのが普通で、それ以外は無視されることも珍しくありません。貨幣の偽造は重罪で、特にフラバル貨の偽造は、ほんの数枚で死罪が適用されたこともあるようです。
これは、交易路を利用する隊商たちの要請によって、交易路上の各国家が制定したものです。そのくらい、交易路のもたらす経済効果は大きかったということなのでしょう。

日下部匡俊