ワースブレイドの最初のボックスは、とにかくTRPGとしてのコンポーネントを作り上げるということで必死でした。とにかく完成まで、まったく余裕がなかった記憶があります。
なにしろ付属のサンプルシナリオがあれですから。まあ、1セット買ったんだからしばらく遊べるようにってんで、キャンペーン意識して作って、数回のプレイを楽しめればと思ってたら、なんかこう、どんどん量がかさんでいってえらいことになりました。ひーひー言いながらいつまでも終わらない話を書き続けていました。
その反省をもとに書いたのがd20のアレです。30年前の自分に、あれでよかったんだよって言ってやりたいけど、たぶん最初からあれだったらいまの自分はいないかもしれないが傍迷惑なことに変わりはない。

まあ最初だったんで、その辺りは本当にまったく読めてませんでした。だってまあ続きだけで2冊(まあ他にもシナリオが入ってますが)出せたくらいだからなあ。あれでも相当削ってるんですよね。バカ以外の何モノでもない。
やっぱり読み返してみると、さすが本職(?)で、Tommy松本氏のシナリオは手馴れていて遊びやすいですね。自分のがつまらないというつもりはないですが。

さて、ワースブレイドの最初のが出て、いまはなき荻窪のおもちゃ屋さんのボードゲーム専用の支店で2セットくらい買い込んで、自分用にしたり人に配ったりして浮かれていたら呼び出しがかかり、これは打ち上げに違いないと思って行ったら拡張セットの打ち合わせだったっていうですね。これ前も書きましたね。
さすがにもう方向性は固まっていて、世界観の拡張が妥当であろうとそういう話になりまして、ああなったわけです。スタート地点になった西方南部から固めていく方向で。このころ、北部はまだぼんやりとしか考えてませんでした。黒の帝国の版図は決まってたけど、どこになにがあってどうなってるかってのは、頭の中にはあったけどそれどころじゃなかったので。
だってだって、休みなしですからね。いや、いまから考えればありがたい話で、そもそもそういう流れでなかったらいまここでこんなことしてなかったかもしれないわけで。

ただ、都市やら小さな国程度を考えるならまだなんとかなったんですが、小さいとはいえ国際情勢を設定するにはスキルが足りなくて、作業開始当初は本当に悩んでいました。一応ネタはあるけれど、それで本当にいいのかっていう。
その時、たまたま知り合い繋がりで出入りしていた某所で、歴史や地政学なんかに明るい方々と知り合いになって、色々アドバイスをいただいたのが非常に役に立ちましたというか、これなしだと拡張セットその2はありえなかったし、東方の設定も作れなかっただろうというくらいお世話になりました。
会話形式をあえてやめて、物語形式(よく考えたら、いまやってる大地とおんなじやり方だ)のリプレイをやった『聖者の仮面』は、この時の流れのメンツでやったのでした(ロワンナ役のTさんには足を向けて寝られません)。

というわけで、この時期知り合ったいろいろな人たちの力もあって、なんとか拡張セットその1をぎりぎりでリリースできたわけです。この辺のテキストのかなりの部分を書いたのは自分ですが、だからって自分ひとりで完成させたなんて微塵も思ってません(や、内容の責任を他の人に転嫁する気はないです)。
拡張セット以降の地獄ロードはともかく、この拡張セット第1弾がなんとかうまく行ってくれたことが、ワースブレイドそのものが今日まで続いてくれた最大の要因だったんだろうなあと思ってます。

日下部匡俊