デザイナーでもなければ絵描きでもない人間が、なにを偉そうにって話はありますが。

操兵のデザインには一定のパターンがあります。
これはなにも操兵に限った話ではなく、モビルスーツなんかもそうですし、パトレイバーのレイバーなんかわかりやすいですよね(基本、現実の重機や特種用途自動車なんかの延長上で描かれてる)。というかたいがいのロボットものがそうなってます。
理由は簡単で、視覚的に世界観を構築するため。
パッと見て、「ああこれは〇〇に出てくるやつだね」とわからせるためってことです。もちろん例外はあるんですが、例外ってのはそれなりに意味があるもので(特別な敵役とか、物語全体にかかわる役割があるとか)。

ヴァ・ガール
ヴァ・ガール
操兵の場合、狩猟機に限って言えば基本鎧武者の延長です。これは東西問わずですが、案外西方に日本の甲胄ベースのがいたり(ヴァ・ガールとか。ドワ・ソグもかな)、東方だからといって東洋の鎧ベースとは限りません。鎧じゃなくて衣装(単とか、ローブ着てるのとか。古操兵、呪操兵系に多い……狩猟機じゃないじゃん)が原型のものもあります。そもそも布巻いてるのもたくさんいるわけですが、それを外しても、です。
1092なんか見ると東方のは毛皮かぶってる蛮族風のもあるし、とりあえず衣服をもとにしたものならなんでもあり(さらに捻って仏像や神像をもとにしたのもあるけど、あれも衣服つけた人間が原型なので。デフォルメはあるけど)なのかもしれない。
ハイダル・アナンガ
ハイダルやギギィ・ガーグは相当変わった形してますけど、あれも衣服の延長と考えても間違いではないと思います。いやまあ例外扱いでいいと思いますが(その昔、幡池先生にハイダルのデザインの意図を聞いたら「卵の殻を組み合わせてみた」という話だったなー)。

ギギィ・ガーグ
ロボってどうしても工業製品のイメージがついて離れないものなんですが、操兵は基本それがなくて、全部手作り(たとえ量産品であろうとも)の一見すると精度が低そうな感じといいますか。でも組み上がるとかっちりと出来上がっている。ひとつひとつが精密に同じサイズで、それを組み合わせて誤差をなくすという発想ではなくて、パーツ単位で微調整して組み上がりがピッタリっていう感じ? 宮大工の組んだ日本建築のイメージですかね。

ワースの場合、こういった地面を這いまわるしかできなさそうなイメージのものが無理やり飛んだり、ものすごいスピードで動いたりするところが勘所でして、合体や空飛ぶのが最初から目的になっちゃうと表現上のバランスがおかしくなっちゃうわけです。
龍操兵はどうなんだと言われそうですが、あれ航空機デザインじゃないですからね(そもそも人型じゃないけど)。どっかの(確か聞いた話ではNASAだったな)技術者が、「十分な推力のエンジンさえあればバスタブだって空を飛ばしてみせる」って言ったらしいですが、それですよね。多少は空力に配慮してるけど、古操兵のあまりあるパワーでぶん回して無理やり空飛んでるの。

なんつって、長々書いてきましたが、そういう制約もなにもかも吹っ飛ばすようなデザインが最強なんですけどね。
どこからどう見てもセオリーにハマらないけど、これは最高の操兵ですねって言わせたら勝ち。エンタメですから、結局ウキウキするようなものを作ったらそれでOKって話です。

日下部匡俊

結局最後にちゃぶ台ひっくり返して終わりかよ。ではまた。