あー、昨日のペンキの件ですが、有機溶剤に樹脂を溶かし込んで、それに顔料突っ込んでよくかき混ぜたヤツをそう呼んでるだけです。そんなに難しい技術がなくても溶剤や樹脂は手に入るので、長年の試行錯誤で使えるものに収束していったんだと思います。鉱油は必要かもなので、やっぱり手に入れるのは大変そうですね。メッキは逆に手間がかかるので、やっぱりペンキの方がましかなあ。

さて。現実を見ればおわかりの通り、人間の手先にできない細工はありません。どんな高精度の機械を使っても、限りなくまっすぐさを要求される軸の工作は人間に頼るしかない(たぶんまだそうだと思う)状態が長く続いていますし、たいていの工作物は機械を使えば簡単だし量産がきくとはいえ、手先でも再現は可能なわけです。板金の叩き出しで作られてる曲面とか、芸術的だったりしますよね(プレス機使えば一発なのだけど)。
例えば時計なんか、数百〜数千万クラスの超高精密なヤツなんて全部手作りだし。コンマ何ミリの歯車から作り出しなので、そりゃああの値段も納得でしょうって申しましょうか。

なので、どんなにすごい操兵でも、それが機械的なものなら絶対に天才が模倣しちゃうわけです。人間が作れたなら、他の人間に作れないはずがないんで。
操兵が仮面に依存している設定の理由は、そこにあります。機械的な性能で優劣がついちゃったら、他のロボット物と変わりませんし。まあ、高精度な工作物なんて格闘やる代物には不向きもいいところなんですが。
年代記では、仮面の能力の差で操兵の強さが決まっちゃうのが面白くないっていう人が出てきて、隠し武器つけたり、鎧に工作して強度をあげたりして対抗しようとしましたが、この時代では本当に個人の意地でしかありませんでした。仮面のポテンシャルがとても高い時代だったので。
それが1092の時代になると、仮面の力が弱まり始めて、かわりにそれを機体で補う方向に向かい始め、操兵の機体を作る人間の技術が問われるようになってきました。年代記にも技術は必要だったんですが。ただしもっと呪術的なものとの相性を見極めるという意味で。
大地の時代になると、これがもっと大変になって、機体の強度や動力の効率なんかが重視されるようになります。もうただのロボットですが、操兵鍛冶の能力が非常に重要な時代になっているわけです。

日下部匡俊