聖刻シリーズをご覧になるのが初めての方は、『聖刻シリーズとは』、『聖刻日記 #3』などをご一読いただければ幸いです。
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焼き物ってちゃんとやらないと火の通りが悪い部分が出るんですよ。魚なんかはまだいいんですが、甲殻類、特に甲羅の大きなカニは危ない。火を通しすぎると不味くなるから、どうしてもちょっとレアっぽくなっちゃいがちだし、脚が火力の弱いところにかかってたりしてね。川のカニなのでそんなに大きくはないけど、
ていうか炭火広げて丁寧に焼けば少なくとも病原菌や寄生虫は大丈夫なんですが、熱に強い毒持ってるのはダメだし(普通そういうのは弾くんですが)、客に催促されて急いで焼いたのなんか最悪ですよね。
サンカが当たりを引いたのは、彼にそういう知識が欠如していたからにほかなりません。
もう敵情視察どころじゃありません。彼はこのせいで生死の境を彷徨うことになるわけですが、そこで耳にした噂話をもとに(病人の前では人は油断するもので)、デンの強力な騎士団を打ち破るきっかけを作ります。
その顛末はここで書くことじゃないので書きませんが(書かないのか!)。
デンは、近くの大国であるダングスやシャルクに比べるとかなり貧しい国です。こういう貧乏な屋台街や、泥棒が潜んでいるような横丁がいくつもあります。命を取られるほど治安が悪いわけではありませんが、変なところに迷い込むと身ぐるみ剥がされるくらいのヤバさはあります。
まあヤバさはともかく、そういうわけでとにかく怪しい屋台が多い。特に食い物屋。サグドル名物の揚げ物を具にした麺類(たぶん小麦は使ってない。そばとか、芋ベースとかそんなの)とか、香料だけはきいたでかい淡水魚の切り身を炒めたのとか、どこから持ってきたのかわからない肉の串焼きとか、件の生焼けのカニとか、腹を壊す危険は満載ですがひたすらバラエティには富んでます。
それはとりもなおさずこの都市の活況ぶりを示してもいるわけです。だてにこのあたりのナンバー3ではありません。ちょっと前までは諸侯の派閥争いで大変な状態だったんですが、最近任じられた女摂政が大鉈ふるったおかげで、いまやれっきとしたナンバー3の地位におさまりました。ちょっとした犠牲はありましたが。
残る2つ、シャルクとダングスももっと上品ですが、飲食に関しては相当しっかりしています。栄えている国家はだいたいそんなものなんでしょう。食べるものには困らないというか。
日下部匡俊
件の即席軍師は、のちにこの地に戻ってきて、カニの新しい料理法を開発し、さらに大ぶりのカニを養殖することに成功して、めでたくカニ料理をサグドルの名物の一つにすることに成功したそうです。そういうオチなの?