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続き。
リッシュ・マナーは、前にも書きましたが西方のどの民族とも似ていません。強いて言えばラズマ氏族(黒の帝国)に似ていますが、体格が違うのと、寿命とか根本的に違ってる部分があります。もっとも、山を降りてしまったら寿命もちょっと長生き程度に縮んじゃいますし、山の上ほどの体力も失ってしまうので、極端な差はなくなりますが。
彼らは、どのくらい昔からなのかわからないくらい以前から、ラ・ムクト山頂にほど近い高原に暮らしています。見たところ、それほど高い文明を持っているようには思えませんが、彼らの暮らす場所は簡素ながら高度な建築物や装置の類をいくつも目にすることができます。
古代の遺跡をそのまま利用しているのではないかという声もありますが、数少ない目撃例によると、必要に応じて建築物や装置を新設しているようで、リッシュ・マナーがそうした技術を継承していることは間違いないようです。
それにしても、下界の人間がほぼ侵入不可能な地に、なぜこのような恐るべき力を持つ人々が暮らしているのでしょうか。
普通に考えれば、この地にその力で守らなければならないなにかがあるんだろうってことなんでしょうが、果たして本当にそんな単純なものなんでしょうか。
西方暦830年前後に、この地を一人の青年とその操兵が訪れています。当然ですが、リッシュ・マナーの手引きによるものです。そうでなければ、彼は途中で命を落としていたでしょう。
その青年の名はデイル・フスリマクスティス。のちに黒竜戦役で重要な役割を果たすことになる人物であり、黒竜神の降臨によって世界が混沌に沈むのを防いだ人間の一人です。
彼はこの山を越えて南部に向かう以外、黒の帝国やその他の追っ手をかわす方法がありませんでした。まさか、神に近い力を与えられ、数千年ラ・ムクトに隠棲してきた人々の役割がこのためだけとはとても思えませんが、結果だけを見れば、この件が相当重要だったことがわかります。
で、1092だとここに三聖剣の一振り(1対だけど)〈アル・ス・レーテ〉が安置されていることになっています。1092とは微妙に世界線(もう開き直りました。便利ですよね、この言葉)が違うので、同一のものがあるとは限らないものの、だいたい同じ場所では似たようなことになっているので、なにかそういうものが眠っていて、リッシュ・マナーは条件が整うまでそれが外に出ないようにしているという話もあります。
あと、工呪会の本拠である天都がここにあるんで、その関係もありそう。年代記の工呪会がここに本拠を置いているとはとても思えませんけど。
案外、1092や群龍の工呪会に対応するのがリッシュ・マナーで、年代記の工呪会そのものは別の存在なのかも。いや、両方とも同一の組織なんですけどね。でも、世界線の強制力ってのがあって、工呪会も微妙にスタイルが違ってる可能性はあります。他の連中と違うのは、工呪会はそれを自覚していることですが。
日下部匡俊