大規模な軍組織の存在する世界には、どうやっても軍隊独特の組織が必要になります。
千単位かそれ以上の兵力をまとめて運用するには、細かい組織に分けて、その中で管理していくしかないからです。やり方にはいろいろあると思いますが、基本的に現存する軍組織のやり方が一番効率がいいように思われます。
具体的には、軍全体をまず機能別に兵科に分けてそれぞれの役割を徹底し、さらに厳格な階級制で意思決定と命令の伝達、実行を徹底させるっていうアレですね。命令違反が銃殺ものってのは、あれは放置すれば軍隊の運営に重大な影響が出るからで、ハラスメントの結果とかではないわけです(実際は公私混同されることが多いですが、それも人が集まった組織ゆえですかね)。

さて。
聖刻1092、群龍伝、それから聖刻の大地には大規模な軍隊が出てきます。軍隊が大きくなればなるほど、個人の都合は無視されていきます。
1092や群龍については本編をご一読いただくとして(解説できなくもないんですが、まあ筆者自分じゃないですし、間違いがあったら面目ないので)、大地はどうかっていうと、個体が全体に影響をあたえるほどの戦力は皆無なので、完全に近代的な軍組織の様相を呈しています。
表彰もあるものの、基本兵隊を縛るのは厳格な罰則で、どんなエースでも重大な軍規違反をやれば死罪(銃殺と言いたいところだけど、たぶんよほどの人間でなければ斬首。弾薬がもったいないから)。必然的に憲兵部隊が組織されて、一般の軍組織から独立して内部規律の徹底に努めているという、戦争映画によく出てくる、好きな人なら見飽きたシーンが繰り広げられているに違いありません(当然、組織の腐敗も込みで)。
いや、このまんまじゃつまんないんで、なんらかの独自性は欲しいところですが、論理的に軍組織を運営しようとするとどうしても方法論が収斂しちゃうので、あんまり動かせないわけです。基本的に、集団の暴走をいかに抑えるかが重視されているので。

でもってこれ、大きな国だけじゃなくて、たぶん規模は小さいけど水源組合でも似たような感じだろうなと。もうちょっとヤーさんの上下関係に近いかもですが。マフィアでもいいですが。一緒か。
なんせドウシャあたりの水源組合でも、操兵は千騎単位で持ってるんで、軍隊として組織編成しておかないと、戦争も何もあったもんじゃないんで。近隣の水源組合に対して、常時臨戦態勢とも言える状況なので。
宿場町っつっても、結構ピリピリしてるわけですね。調停会議が睨んでる分、宿場単位の軍勢が純粋にぶつかり合う状況が生まれてるわけです。国の介入は許さないくせにそういうのは放置って、どういうつもりなんでしょうね。

日下部匡俊