ダカイト・ラズマ帝国は、ある目的のためにアハル人世界への侵略を開始しました。それは神学的な意味のあるもので、唯物論を信奉する人々の目には理不尽なものと映りました。
もっとも、アハーン世界には物理的に神様や悪魔やその他の超自然の何かが存在しているので、唯物論と言ってもわれわれのそれとはちょっと違うのですが。
結局、帝国の目論見はほぼ達成されることになります。しかし彼らの目的は西方の征服ではなかったので、そこで帝国の勢いは急速に衰えていきました。上層部にとっては既定事項でしたが、その気だった軍部にはたまったもんではありません。
帝国軍は戦いを続行しようとしますが、各地で連戦連敗。頼みのギ・ドアーテさえ対策を取られて力を発揮できなくなり、ついにアハル人勢力との間に和議が結ばれることになりました。
これがだいたい西方暦840年前後。
ダカイト・ラズマ帝国は、この時期に名前だけ残して無力化します。すぐに滅びなかったのは、あんまりにも不毛な土地が領土だったから。そして案外長持ちする。領土的野心を発揮することは、これ以降ありませんでしたが。
ちなみに『デイル・フスリマクスティスの伝記』では、帝国の「ある目的」が「黒竜神を抹殺する」という一見矛盾した(帝国はこの神様の庇護を受けているので)ものでしたが、ワースブレイドのシナリオソースではそうと決まっているわけではありません。
後の世に『黒竜戦争』あるいは『ラズマ戦役』と呼ばれる戦いの真の目的は、実際にその真実を目にした者しか知りません(つまりわたしも知らない)。こいつはTRPGの話なので。
旧帝国の一部の勢力は、ひそかに結ばれていたガッシュの帝国との協定を使って南部地方へと逃れます。南部に流れたドアーテ種の操兵たちは、デンのサグドル工房やシャルクのアーハーレ・タルケンの大工房によって改良、新規に製作されていくことになります。
北部の工房がこの動きに呼応し、最新の操兵を南部に送り込み始めます。あの操兵が南部連合に大量に譲渡されたのはこういった経緯によります。
南部大戦は、さる貴人に連なる人物が大罪を犯した末に出奔したことに端を発するのですが、もちろんこんなものは表向きの話。
体のいい名目にされたにすぎません。
そりゃあ旧帝国の操兵群とその知的財産が転がってれば、誰だって欲しいって思うし、南部の未開地をかつてない規模の実戦試験に使ってみたくもなりますよね。碌でもない話ではありますが。
加えて南部の国々、特にシャルクやダングスのような北部ともタメを張れる国力の持ち主ともなれば、なんとかして北部より自分たちが上だって認めさせたくなるし、東の国々はそういう情勢を利用して西方全体の体制を乱してやろうって考えたりもするわけです。
第二次南部大戦ではブレイド操兵総登場とあいなる予定です。北部の連中はそれぞれの思惑で強いの投入してきますし、当然ドアーテ種もたっくさん出ます。ムーンは別格なので考え中。あとギルダールとズィエンは北の鎮めだから出ないかも。
とにかく南部大戦は、西方の体制そのものがより群龍や1092に近いものに転換するための一大イベントなのです。すぐにがらっと変わっちゃうわけではなく、過渡期に突入すると申しますか。でもその流れは必然的なもので、古き時代は過去に追いやられていくことになるのです。
日下部匡俊
なんてことをつらつらと。日記で過去に書いたのと微妙に違ってるところもありますが、完全に矛盾しているわけではないので。