『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』などをご覧いただければ、このあたりに書いてあることの前提はご理解いただけるかもしれません。

ワースブレイド(古い方)を制作するにあたってのコンセプトは、通常のファンタジーRPGの世界にロボットがいる、というものでした。
もともと聖刻シリーズは、ロボットが普遍的に存在する世界の話ではなく、あくまで選ばれた人間(ゲーム内のシナリオ的な意味で。もちろんこれは冒険者を含むというか、冒険者が主役)だけが操兵を使うというものでした。
これは聖刻1092から続いていたもので、よくお読みいただければわかりますが、1092も世界の大半は操兵とは関わりのない場所なのです(フェンたちの故郷の村がそうだったはず)。都会や、軍事力が行使されている場所では別ですが。
というわけで、ワースブレイドでも当然そういうセッティングが前提でした。少なくとも低レベル冒険者は普段操兵とは関わりの少ない生活を送っていて、その最初の冒険で操兵に出会う……という感じですね。
それを再現するためにデザインされたのがワースブレイド スタートセットです。
スタートセットにおいて、操兵が簡単にプレイヤーキャラクターの手に入らないようになっているのは、そのスケール感を把握して欲しかったからです。

もちろん設定はあくまで設定に過ぎず、操兵を持っていたらお金がかかるとか、文明圏では制限がかかるという縛りは書いてありますが、お金だけならシナリオでいくらでも出せます(好事家がパトロンになってくれるとか、どこかの財宝をものにするとか)し、実際、お金と人とでどうにでもなるようにしてあります。
ワースブレイドのリリースされた時期は、ゲームには必ずユーザー単位での手が入るもの、というのが常識だったので(それだけプレイ人口が多くはなく、全員最先端で尖っていた)、この程度の縛りならば逆に遊びやすいように解釈を変えてもらえると考えていたのですが、ここまで長期にわたって愛好していただけるとは考えの外でした。特に90年代後半以降「操兵に乗れない」「操兵がまったく維持できない」などの声が聞こえてくるにいたり、公式として修正を含んだ何らかの声明を出すべきだと考えています(ここでやっても公式のそれにはならないので、ワースブレイドのページでやることになると思いますが)。

その反省も含めて、次にゲームをリリースする際には、そうした問題点もすべてクリアにしてルールを作成する所存です。
当座は旧作のワースブレイドに関するフォローアップだけにとどまるかもしれませんが、それについても改良を試みる考えでいます。

日下部匡俊