こう見えてわたしはノマドワーカーです。えっへん……すいません、言っててものすごく恥ずかしいです。
正確にいえば、普通に考えて仕事の環境を構築できそうにもない場所で、仕事をきちんとこなすことに無上の喜びを見出すタイプの厄介な人です。もちろん目標が一旦達成されてしまうと、途端に飽きが来ます。

いまだから書けますが、2005年、『双天の王者』の出る2ヶ月くらい前に欧州某国にいました。担当さんが聞いたらきっと湯気を上げて怒ったでしょうが、実はちゃんと原稿は上げていたのです。いや自慢するようなことじゃない。
当時、あぶく銭に飽かせて衝動買いしたレッツノート持っていって、モデムで電話回線につないで書き上げた原稿送っていたという。モデムですよモデム。当時のノートPCにはついてたんですねこれが。当時、欧州の片田舎に通信回線なんかまだ普及しているはずもなく、そういうホテルもあったような気がしますが(ADSLあたりが通ってたのかな)、基本据え付け電話のモジュラージャック引っこ抜いて付け直し、0番発信しつつ近所のアクセスポイントに電話するっていうですね。3分1ユーロとかふざけた課金をしてくるホテルもあって、げんなりした記憶もありますが、まあそれはともかく。自業自得といえばそうだし。
で、何度か原稿送って、目論見通りに原稿書いたりデータ送ったりできることがわかったら、もうすっかりやる気が出ず。そのまま帰国まで原稿送らなかった記憶が。1週間くらい原稿来なかったから、編集さんはやきもきしていたに違いない。まあ、あとで書いたのをまとめて送ったんですけど。

そうして出た結論は、やっぱり仕事部屋に勝る環境なし。でも、最近は仕事机の前だとなぜかやる気が減退して、眠くなってもう大変なんですが。
だから昼間、ファミレスで仕事してるんですが、ちゃんと締め切りが設定されて落とすとまずい仕事は仕事机の前でできますね。要するに切羽詰らないと何もできないってことでしょうかね。最低ですね。

日下部匡俊