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聖刻シリーズをご覧になるのが初めての方は、『聖刻シリーズとは』、『聖刻日記 #3』、『聖刻シリーズ 基本用語解説』などをご一読いただければ幸いです。
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ワースブレイドの西方では、東方との交易路は南部で終わっています。そこから沿岸を伝う航路があって、それを交易路の一部とみなすこともありますが、シャルクやダングスと呼ばれる国のあたりで終わっていると考えるのが普通です。
というわけで、これらの国々は交易品を独占して取引することができたはずですが、なぜかこうした品々の大半は北部へ流れてしまいます。
これはなぜかといえば、もともと南部は北部の流刑地、あるいは、聖拝戦争で敗れた勢力が仮の住まいとして落ち着いた土地だったからです。
彼らの価値観は北部が西方の本拠地であり、南部は未開の田舎にすぎないというものでした。
しかし世代が重なり、次第に北部との結びつきが薄れていくと、南部の国々は自分たちが交易を独占しようとします。
が、それは北部も気づいていて、とっくに手を打っていました。北部抜きでは交易が成立しない仕組みを作っていたのです(フラバル国などとの協定で、北部の国々の発行する証書や公証人を必要とした。手続きも煩雑で、これを省くと、取引を行う商人に莫大な違約金が請求されることになった)。そもそも交易品の価値に見合う商品や代価となる貨幣は、南部にはあまりありませんでした。
また、高品質かつ交易で必要とされる商品の品目を把握していた北部に対して、南部は日持ちしない農産物や粗悪な工芸品(操兵関連の工業製品は基本禁輸品だった)しか存在せず、一番外貨を稼いだのが南部の遺跡から発掘された魔力を持つ〈聖刻器〉だった時期すらあったほどでした。
聖刻器は大きな取引でも10品扱われるかどうかというものでしたから、圧倒的多数を占める南部産の商品の扱いがいかに低かったか、このことからもわかるでしょう。
が、どんなに細工を施しても、大きな流れを変えることはできません。南部にも知性に優れた人間はたくさんいますから、北部の作った仕組みの抜け道をうまく利用しつつ、しかもそれが露見しないように少しずつ利益を掠め取る人々があらわれます。
結局、北部が交易からの収益を十分に維持できたのは、9世紀の前半までのことでした。致命的だったのは、黒竜戦争とそれに続く混乱でしょう。
南部でも大きな戦いが起きましたが、これはむしろプラスに働きました。短期的には、戦は大量の金銭が動くので経済を活性化させるからです。
南部にとって幸運だったのは、大戦後の混乱期をうまく切り抜け、復興のために経済活況を継続できたことでした。
こうして北部はその経済的基盤を失い、南部は富み栄えることになるわけです。
もっとも、北部の凋落は南岸〜西岸のフェルム人たちも直撃することになりました。というわけで、南部の利益基盤になんとか食い込み、海上輸送の独占も継続するべく、彼らの苦闘が始まることになるのでした。
日下部匡俊