この時期になって季節外れの台風が直撃とか。呪われてるんでしょうか、この国。

剣の聖刻年代記(ワースブレイドはプレイヤーレベルで設定が異なるので、断言はしませんが)では、仮面の力があまりに強いために機構的な工夫やら動力伝達の効率化とか、そういう工業的に当たり前のことがほとんど追求されなかったと書きましたが、例外が何体かあります。
モー・ナル・マトリクスとズィーダル・ハークス、リラーナ・ドアーテとブルダ・ウ・モーナードです。
マトリクスとズィーダルは、全身に便利機構を盛り込みまくった実験機で、隠し武器だけではなく、機体の廃熱で動く作業用の起重機とか副腕(マトリクス。操兵の腕としてではなく、蒸気圧で動くマジックハンド。当然動きは鈍い)なんかも仕込まれています。
また、仮面の力がさほど強くない機体でも高級機と渡り合うという設計思想のため、関節部分の機構が特殊だったり、素材が特別だったりと工夫がなされています。
残念ながら、そうした改良にもかかわらず、さほど強くはならなかった模様ですが。ズィーダル・ハークスは隠し武器によってリラーナを倒すことができましたが、単純な強さならリラーナの方が上だったようです。
ちなみに、機体に隠し武器を仕込むやり方はこの時代の騎士の作法にもとるとされ、マトリクスは実戦に使われる前に廃棄され、ズィーダル・ハークスは西方南部から追放状態になりました。

リラーナ・ドアーテは、操手と仮面との結びつき(同調)を機械的に強化した機体です。呪術的要素ももちろん入ってますが、単純なまじないではなく、機械的に呪術効果を強める機構が導入されています(作動するとウインウイン音たててなんか回り出すの)。加えて、仮面が同調を強化したせいで実力以上の力を発揮しちゃうので、それに合わせて機体構造も効率化されています。仮面の力そのものはもとのままなので、自然に機体が強化されたりすることはなく、したがって構造の強化とか動力伝達の高効率化とかなされているわけです。
ブルダ・ウはリラーナ(の技術)から得られたノウハウで作られた機体です。リラーナ・ドアーテは、ドアーテシリーズの例に漏れず集団戦を意識した機体ですが、ブルダ・ウは最高の性能を引き出すために作られたカスタム機で、さほど強くはない仮面、機体にもかかわらず、適合した操手が搭乗した場合、数段格上の操兵に匹敵するかそれ以上の力を発揮するという話ですが、表立って使われたことはないはず。ペガーナっていう西方の最大宗派のバランサーとして存在する国の象徴なので、下手に動けないからです。
機体は超高級というほどではありませんが、地味に剛性が高めてあったり、可動機構は非常に高精度で、鋳鉄なんか一個も使われてないどころか、得体の知れない素材もふんだんに使われていて、コストのことはまったく考えられてません。こいつは完全な一品もので、おそらくおなじ鍛冶師が作っても、2度とおなじものは作れないでしょう。
それはズィーダル・ハークスも一緒か。あれ個人の作なんだよなあ。改造ってことになってますが、ゼロから作り直したも同然だし。

こんなこと書くと、年代記の操兵すげーとかなりそうですが、そんなことはありません。
数を揃えて相応に高性能な機体を作ることができる1092や群龍の時代の方が、集団として見た場合圧倒的に優れています。個々の能力が高くても、数はないし性能もまちまちでは、軍勢のぶつかり合いでは相手にならないからです。
仮面の力が落ちてるったって、そんなに極端に低下してるわけじゃないですしね。

ま、聖刻の大地になると本当にただの動力源に成り下がってるので、比較もできませんが。むしろ火器の存在の方が影響大きいかも。

日下部匡俊