本シリーズをご覧になるのが初めての方は、『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』などをご一読くださると、なにかいいことがあるかもしれませんが保証はありません。
聖刻-BEYOND- PV絶賛公開中!

現実でもそうですが、宗教というのは権力と結びつきやすいものです(ほかにいろいろ不穏当な表現を書こうとしたのだが、結局これに落ち着いた。いやー、この表現最初に思いついた人すごいなー)。だから、空想でいろいろ弄ぶのがとても面白いんですけどネ! いいですか、聖刻シリーズに登場するのはあくまで空想上の存在であって、現実のそれとはまったく無関係です。
実際、ワースでは慎重にわかりやすい共通点は取り除いてデザインしています。宗教そのものの特徴的な部分で共通しちゃうのはしょうがないですが。特にご本尊にあたる部分とか、現実に存在する聖者とか(だから一神教のあれの息子さんとかお父さんとか一切それらしいもの出てないでしょ? ていうかまあ、一神教はどんなに出発点変えても、設定を拡張していくと絶対どこかで似ちゃうんで)、もう触ったら全部吹っ飛びかねないわけで。
あとカルト系とか。いやー、こわいこわい。シャレになりません。

というか、わりと創作で取り込まれてる北欧神話とかギリシャ神話とか、あっちですら触ってません。いやこれは、やっても面白くないからなんですけどね。類似多数ですから。後追いして面白くないものでちっちゃくまとまるなら、いっそ全部まるっと作り出しちゃった方が早いって発想です。
あえて言えば、ペガーナのネーミングは元ネタがありますが(ググれば出てきますね)。でもこれも名前だけなので。

東方なんかは千葉先生が八聖者というステキ設定を考案してくださったので、神格を扱わないパターンの宗教が出来上がって、とてもやりやすくなりました。
剣の聖刻年代記ですと、東方では神≒災害だったりするので、神さまは恐れる存在であって信仰するってのとはちょっと違うってのもありますが。というか、そもそも宗教と言いながら、神さまは世界を形成するシステムの一環という扱いなので、実は発想的にファンタジーではなく、SFの手法をとってるんですが。でも即物的に、神は巨大計算機(いやそれはいくらなんでも発想が古典すぎだろう。何周か回って新しいかもしれない可能性もないではないけれども)だとか、なんかでかい生き物だとか、そういう考え方ではないですが。
なんか現実世界を内包するなにか。それがワースブレイドにおける神さまです。

で、それに仕える僧侶たちは、単なる概念上の存在ではないなにかから実際に影響や力を受け取って活動しているわけです。現実的な後ろ盾があるぶん厄介ってわけです。逆らうと本当にバチが当たるとかね。これは通常のファンタジー系の僧侶でも一緒か。
でもって、聖刻の大地では、僧侶たちがそうした後ろ盾を失った状態で登場するわけです。そういう連中が、過去の栄光にすがりつつも、なんとか現実にそれを引き戻そうとして足掻いているというのが、この時代の大きな流れです。宗教のスタイルもかなり変わってますし、変なことになってるんですが。

日下部匡俊