今回は練法の話の続き、というか、よく考えたら#8で説明したつもりになってましたが、基本のところを全然説明してませんでした。
というわけで。
こことか、聖刻文庫の各所で『練法(師)』という単語が出てきますが、ご存知ない方も多いと思います。
『練法』というのは、わかりやすく言えば、『聖刻』の力を利用した、魔法のような術のことです。ここで言う聖刻とは、異世界から力を引き出すアイテムのことです。たいてい仮面の形をしています。
で、『練法師』とは、その練法を操る人々のことです。魔法使いと言ってしまえば身も蓋もないわけですが、ニュアンスがちょっと違ったりします(この辺は#8にも書きましたが)。
練法師は、練法を発動させる力の源として、仮面(=聖刻)を身につけています(本当は、聖刻ってかならずしも仮面の形をしている必要はないんですが、たいていの奴らは仮面が大好きみたいです。まあ雰囲気出ますしね。仮面を持てない練法師の見習いもいますが、その辺はワースブレイドを参照のこと)。
というわけで、顔に被り物した怪しい奴が出てきたら、よほどミスリード誘っているのでなければ聖刻世界では練法師だと思って間違いありません。
さて、最初にも書いた通り、聖刻から力を引き出すために存在するのが練法という技です。これは単なる技術で、もちろん使う人間の資質も影響しますが、術を発動させるだけなら誰でも可能なものです。
で、それは具体的にどういうものかというと、呪文を唱えながら指を組んで印を結ぶという、なんか魔法というより忍術とか(フィクションの)密教の秘術とか、そんな感じなわけです。呪文も、聖刻語と呼ばれるたぶんいまは誰も会話のためには使っていない言語なので、いわゆる経文とか、そんな風に聞こえるんじゃないかと思われます。
というわけで、仮面つけた怪しい奴が練法使ってるさまは、不気味以外の何物でもありません。
こんな風に手間がかかる&目立つ代物なので(熟達の練法師が低いレベルの術を使うときは、術のイメージを思い浮かべるだけで発動できるので、実は低位練法をいかに組み合わせて使うかが練法師としての戦闘技術だったりしますが)、練法はなかなか便利に使えません。なので、練法師は練法の技術は当然ですが、それをいかに効果的に使うかということを、戦術、戦略的に常に考えている連中です。そうしないと生き残れないので。
あと、そんな感じなのであんまり表立って行動しません。裏で常に陰謀を巡らせているイメージです。手下を集めてふんぞり返るのが好きなので、練法師は組織を作りたがりますし、実際どこかの組織に属している人間が多いようです。ますます忍者っぽいですが、身体能力は忍者ほどではないことがほとんどなので、その辺でちょっと差別化されます。
聖刻1092、あるいは剣の聖刻年代記、ワースブレイドに登場する練法は、使うのが非常に困難(たぶんアシストが必要)ではあるかわりに、地域レベルで破壊をもたらすものや、時空間や事象を操作する術があったりします。つまり大練法師がひとりいれば、戦略レベルの兵器を持っているのと同等なのですね。当然、戦略兵器がおいそれと使えないのと一緒で、必要もないのにそういう試みをやろうとする愚かな練法師はまずいませんが。
一方、聖刻の大地では、練法師は絶滅危惧種で、大半の術が失われています。術の体系そのものも変わっている可能性が高いでしょう。仮面も力あるものはごくわずかで、たいていは大練法師が鼻歌交じりで使っていた術を四苦八苦して発動させるのがやっとという状態です。さて、こんなので彼らは活躍できるのかといえば……それはまた別の機会に。
日下部匡俊