そもそも聖刻シリーズってなによ?→#3
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聖刻世界では、当初火薬は自由に扱えないことになっていました。弓矢も単発が主で、弩(いしゆみ)なんかも連射機構は持っていないことになっていました。あっても不安定(まあ実際この手のはよく引っかかりますし)で、使い物にならないってことで。
理由はお察しの方も多いかと思いますが、要するに強すぎるからです。火薬は別に現在の進んだものでなくても、威力だけなら昔から強力なのがたくさんありました(つまり作るのはそんなに難しくない)し、比較的小さな容積に結構な量が詰め込めるんで、操兵で苦労して戦っても、砲撃で形勢が簡単に逆転なんてことも珍しくないわけです。小説中なんかで出さなかったのはそれが理由で、ゲームなら設定を弱めにしてバランスを取れば……という逃げ道があるにはあるんですが、他の物語に合わせるということと、いったん火薬を認めればどんどん便利になっていってしまうかもしれない、という懸念があったからだったりします。
弩も同様で、とにかく弾速が高くて貫通力が強いので、これが連発で来れば操兵が瞬殺される可能性が高い、ということです。

いや、これは「ゲームのシナリオで設定した敵役が、あっさり殺されてつまらなくなるから、やらせないようにした」ということではありません。そんなもの、しれっと別にラスボス用意しておけばいいことですし、プレイヤー側の切り札がやられちゃったーということなら、別の小クエストを用意して、代替機が(さりげなく)渡るように仕組めばいいことなんで。なにより、こんなこと火薬使わなくなっていくらでも起こりうることですからね(泣)
そうではなく、お話全体の雰囲気が変わってしまうことを心配したってわけです。ムードって大事じゃないですか。別に完全にコントロールしようともできるとも思ってませんが、製品として送り出す以上、基本の空気みたいなものは持たせておかないとっていうですね。

もちろん、当時、このことにご不満を持たれた方も少なくないと思いますし、現在おなじことをしようとしたら、きっと別のやり方を選ぶんじゃないかとも思うんですが、その時はそうだった、という話です。

日下部匡俊

実際、聖刻の大地は年代記や1092とは隔絶した時代を扱うことにしたんですが、それは火器の扱いを含めて世界観を一新するという試みが入っているためでもあります。もちろん、それでも大地はちゃんと聖刻シリーズの範疇に収まるように、設定しているつもりではありますが。