この話は#16からの続きです。
さて、操兵にはいくつか種類があります。大別して狩猟機、従兵機、呪操兵と呼ばれます。
狩猟機は人間に近い姿形をしたもの。だいたい鎧武者に近い格好です。骨組みに管を這わせただけの裸の状態の上に、思い思いの甲冑を身につけているって感じですね。
従兵機はずんぐりとした胴体の胸のあたりに仮面がくっついたもの。頭はありません。手足もそんなに器用ではないので、単純な形をしています。従兵機は、軍隊内だと狩猟機のサポート役を務めることが多いです。遠い戦場に移動するのに武器とか予備の防具とか持っていくの大変なので。狩猟機は高級機(従兵機に比べて)で繊細な作りなので、継続して大きな負荷をかけ続けると壊れちゃうことがあるんです。壊れたふりかもしれません。なんせ仮面には意思があるんで。
一方従兵機はといえば、馬車馬のようにこき使われても平然と動きます。仮面も低位のものなんで、あまり強い意思はありません。ぼんやりとした気分はあるけど、性格の悪い畜獣よりはよっぽど素直にいうことを聞きます。あと、聖刻のアシストもそんなに強力じゃないので、機械的な意味では狩猟機なんかよりよっぽど頑丈で、ある意味進んでいます。
ま、この従兵機の技術を応用して、頑丈で強い狩猟機なんかも存在しているようですが。まあただ、従兵機は機体構造が単純なので実現できていることも多く、応用っていっても簡単じゃありませんが。
呪操兵は練法師専用操兵です。これなんか、操手槽の中心(操縦席)がもう禍々しい練法陣なる怪しい文字や図形で描かれたサークルになってたりするので、そもそも練法の深い知識がなければどうやって動かせばいいのか見当もつかないんですが。
いったん動かせると、操手の精神力とか使わないで強力で高レベルな練法を使えるようになります。人間が使ったら即死ものの精神力を消費する大練法も、使える条件さえ揃えられれば思いのまま。まあ、呪操兵の仮面がそれに耐えられれば、ですが(とはいえ人間よりはよっぽど精神力が大きい)。
あと、従兵機を改造して、練法使うためだけの仮面を別に装備した擬似呪操兵というものも存在します。なんとこの練法用の仮面、使い捨てです。もったいないですが、練法の使える操兵のメリットはそれだけ大きいってことですね。空飛べたりしますし。
ちなみに、操兵は近代的な工業の産物ではないので、性能もまちまちだし、同じ設計の機体のはずなのに形が違ったりします。いい加減ですが、それでなんとかなってるし、みんなあんまり気にしていません。できるだけ同一の機体、同一の性能にしようとしているところもありますが、現実の工業製品と一緒に考えてはいけません。
ていうか、こいつらはマジックアイテムの類だと思っていただいた方がまちがいありません。迷宮の奥の宝箱から出てきたのが、切れ味抜群の工業製品じゃあ、実用性はともかくがっかりじゃないですか。それと一緒です。
まだ続くかもしれない。いやまあ、明日はまた別の話で。
日下部匡俊
実はね、これね、昨日のうちにここまで書いててね。よし誰も気づいてないな!