遥かなるカイ・ダイン作中カットあっちの方で公開した『剣の物語』のプロローグ(序章ではなく)ですが、昨日今日思いついたものではなくて、ワースブレイドがリリースされてからずーっと考えてきた話なのです。
終章にして本編ってのはそういう意味で。

どのくらい前からかっていうと、ワースブレイドの制作に入ってしばらくしてからじゃなかったかなあと思います(だから89年前半くらい?)。デイルの話をワースブレイドの雰囲気を伝えるために書いて、そのあたりからもっと世界に深く関わった話を作ってみたいと思ったように記憶しています。

で、お話の構想はざっくりとはあったのだけど、どう語り出せばいいのか思いつかなかったので、まずはキャラ固めからだろうと。
でも、当時はフェンっていうこれ以上ない主人公キャラがいて、これと被らないようにするためにはどうしたらいいかというのが真っ先に浮かんだことでした。
一番わかりやすい解法としては、とりあえず真反対の要素を持たせることでしょうか。
というわけで思いついたのが本編の主人公(のひとり)ナグンです。平均よりは身長あるけど別に胸板は分厚くないし、むしろ優男の部類。でもいわくありげなでっかい剣を背負ってて(巨大な鉄塊にしなかった自分の慧眼を褒めたい……ご冥福をお祈りします)、絶対こいつなんかあるって空気全開のくせに余計なことはなにも言わない。
うん。できたけど、これでどうしろと? という感じになりました。微妙です。
デイルは操兵に乗れるけどそれ以外は並かそれ以下っていう出発点で考えた、いわばまさにTRPG発祥のキャラなんですが、こいつはなんなんだと。でもなんだか面白いかなーって直感がありまして。だとしたら、どう補えばこの人物が活きてくるかってことで。
普通これはダメだって別キャラ考えるもんですよねえ。いまから考えるとバカみたいですね。でもまあ、昔から考えてたキャラの延長上でもあるんで、当時は軽い気持ちでそのままなんとかならんかと押し通しちゃったわけです。

そこで思いついたのが、このバランスの超絶悪いキャラをなんとかしてくれるバディを出すことでした。
それがもうひとりの主人公、マスガンです。どう見ても肉体派で格闘強そうだけど、実は小器用でルール破りが得意技(だから偉大な術使いにはなり得ない。相方の方がよっぽど上)。
ほどよく世間慣れしていて、機転もきくし人望も厚い。
ナグンはそういうヤツなので黙っているとただ孤立していくだけなんですが、常にこの白髪の巨漢が真っ当な場所に引き戻してくれるという仕組みです。仕組みって。
まあ1巻には冒頭以外出てこないんですけどね。
なので、1巻本編のナグンは――なんかそういう感じです。

ここまで読まれて頭の上にでっかい ? が浮かんでる人は、ぜひ聖刻寄合所へどうぞ。

日下部匡俊