聖刻とはなんなのか、という話は『聖刻シリーズとは』、『聖刻日記 #3』などをご覧いただければこれ幸い。
#191の続き。
さて、そもそも操兵とは人が作ったものです。BEYONDでも、冒頭に登場する「従兵機」は明らかに人工物という描写がありました。まあ、あそこまで近代化した内部構造を持つ操兵はBEYOND以外にはまだ登場していませんが、程度の差こそあれ大半の操兵は人間が自分の手で鉄を鋳込んだり、削ったり、鍛えたりしてパーツを作り、それを組み上げたものです。
ただし、操兵の中で、ひとつだけ簡単には作り出せない部品があります。そうです、〈仮面〉です。
仮面とはなにか、という具体的な話は#142をご覧いただくとして(いやあ、単純な解説ならもうリンク拾ってくるだけでなんとかなるなあ)、この仮面の扱いについてです。
とにかく、どの時代でも仮面は操兵に必要不可欠でありながら、自由になるものではありません。大地の世界でさえ、一般人が仮面を作るところまではできても、それは寄せ集めのパーツを組み合わせる程度のことでしかありません(重要な部品の〈聖刻石〉や、仮面のフレーム部分は自作できないため。ありものを壊して組み直すことは可能)。
そんなわけで、操兵の数は、実質仮面の数と言うことができます。たいていの世界では、仮面が余っていることはそうありません。強力な古代の物品(わお、ファンタジーですねえ)は例外として、人間が管理下に置いている仮面はほぼすべて操兵に取り付けられていると言っていいでしょう。操兵は、それだけ貴重で強力な戦力だからなんですが、そんなわけで、多くの物語において操兵の仮面は普通の財宝など放っておいてでも手に入れるべき貴重品です。
BEYONDでは、仮面そのものについてまだ触れられていないのでどうなるかわからないところですが、その他の物語ではとりあえず操兵の仮面とわかるものが目の前にあったら、まずスルーされることはない、という感覚であることを覚えておいていただけると幸いです。
物語全体を支配する価値観というか。
そりゃまあ、巨大ロボのキーというか動力源が持ち運べる状態で存在したら、誰だって欲しいと思いますよね。
もちろん、大量に操兵が登場する群龍伝や1092では、なにがなんでもという雰囲気ではありませんし、仮面がさほど重要な扱いではない物語も存在しますが、それでも基本はそういう考えが支配的ということです。
操兵の機体そのものを作り出すのも大変ですし、ワースブレイド、年代記では作るくらいならどっかから盗んで来た方がまだましって状況だったりします。なので、本当に物語ごとにその辺の比重の置き方はまるで違うのですが、とにかく全物語で操兵は特別な存在なので、よほどの変わり者でない限り、操兵に関するなにかがあったら、それを手に入れようと考えるっていう価値観だけ念頭に置いておいていただければと。
日下部匡俊