聖刻世界では、どこに行っても統一された単位や通貨が使えます。
現実的に言って、こんな馬鹿げた話はありません。単位ひとつとっても、これほど世界中でバラバラのものはないわけです。メートル法とかで統一しようって動きはありますが、これも世界的に情報の共有が容易になったからで、聖刻世界のような時代背景でそんなことがあるはずもありません。
カグラの往来に年単位かかるのに、情報の共有なんて可能なはずがありません。
ゲームで使うから? それを言っちゃあ身も蓋もないし、面白くないじゃありませんか。
てわけで。
あくまで仮説の形でですが、いくつかこの状況を解決するものを考えてみたいと思います。
まずは、古代に存在したなんらかの文明が、大陸全体を支配しつつ高速な情報伝達手段を持っていた、というものです。古代文明といえば、アハーンの場合〈聖刻文明〉が第1候補ですが、必ずしもそれだけとは限りません。過去のインフラを利用する別の文明があったとか、いろいろな可能性が考えられるでしょう。
あるいはもっと踏み込んで、どうやらこの世界の人間は、なんらかの上位存在に作られたものが基本のようなので(年代記、1092にそれらしい記述あり)、遺伝子レベルでそういう知識が刷り込まれているという可能性もあります。これは古代文明の産物と似たような話ではありますが、なにかの便宜のために、人間が共通した単位系を持つように設計されたという、もっとローレベルの話になりますね。
そして、これもその話の亜種ですが、神さまがそう決めたからっていうかなり強引な話もありうるでしょう。多分人間ごときにはわからない理由で、4を基本とする単位が刷り込まれているというですね。こうなるともうゲーム用のこじつけとしか思えませんが。
なにはともあれ、単位が統一状態にあるために、操兵などのある程度の精度が必要とされる工業製品の類は、場所を問わずに知識の共有が容易になっています。設計図は文字さえ読めれば、そのまま使えるレベルになるんではないでしょうか。
はたまた、ゴルダという単位で通貨が統一されているも同然なので、経済活動も遠い国々のそれの影響を受けたり、逆に影響を与えたりするような状況が生まれやすいと思われます。まあ、距離があるとリアルタイムで影響しあうってことはないんで、現代社会のようなことにはならないでしょうが。
でも、東西の国家を飛び回って、うまいことやって利ざやを稼ぎまくる人物とか出てきそうですね。みんなでそれを始めたらろくなことになりそうもないですが、この世界の交通や情報伝達の速度を考えれば、まだまだ選ばれた人間だけのものであり続けるでしょう。
日下部匡俊