初めての方は、『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』などご覧いただければ、ご理解の一助となるかと思います。
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今日は小寒ですが、激烈な寒さに震えています。いや摂氏5度なんて寒いうちに入らないのは知ってますよ? 北海道で長かったし。マイナス30度経験したことあるし。旧北見の駅前は街頭の温度計がマイナス10度から上がらなかったなあ。
でもですね、あっちは防寒装備完璧なんですよ。屋内なんか常時20度キープだしね。その点、東京なんかもう防寒も防暑も中途半端なので、えらいことです。しかも湿度が低い。これが恐ろしく寒く感じる原因ではないかと密かに睨んでいます。
ええと、この日記の表題なんだっけ?

企画の進捗については、書けば同じことの繰り返しになりそうなのでちょっとおやすみ。また週明けにでも。
今回は、何度か触れた戦争について。ちょっと角度を変えて。
ワースブレイド西方では、結構な頻度で戦争が起きていました。設定上の「現在」は西方暦837年ってことになってますが、この時期は〈黒の帝国〉の侵攻により、戦時中のど真ん中です。ここから1世紀近くは西方暦の中でも屈指の戦乱の時代で、旧来の戦術と近代的な戦術、ひいては戦略レベルでの大転換が起こる時期でもあります。
とはいえ、操兵という兵器そのものはさほど変化してはいませんから、運用面でも何世紀か続いて来たやり方が発展継承されている状態です。

操兵という兵器は、非常に癖が強いと言えます。仮面の気まぐれ(仮面には自我があって、いうことを聞いたり聞かなかったりする)は抜きにしても、巨大な人型兵器の扱いは普通に考えても大変です。以前も触れた通り、整備補修のために大人数の鍛冶師が従軍するのは当然で、そのための設備や資材の運搬もシャレになりません。近代的な兵器運用でもこれは同じことなのですが、システマティックに運用される近代兵器とは異なり、そもそもまともなインフラの存在しない世界では、その運用の難易度は桁違いに跳ね上がります。
なんせ、巨大な操兵の骨格用の部品や、それを加工するための工具、炉(現地で組み立てるにしても、かなり重くて取り回しが悪い)なんかを運ぶ専用の機材が存在しないわけですから。いきおい操兵の万能性を頼りにするあまり、操兵が足りなくなって本末転倒の結果になるとか。運び終われば戦闘に回せるとはいえ、物事はそう思い通りにはいかないものなので。

鍛冶師にしても、落ち着いて日数をかけて作業ができる環境ではないし、相当劣悪な状況で仕事をしなければならないので、練度の高い職人を連れて行っても、たぶん想定のかなり下を行くレベルの結果しか残せないだろうと。損耗が大きいと、あっという間に戦線維持ができなくなりますよね、こんなんじゃ。

てなことからもお分かりの通り、操兵戦に強い軍隊は基本的に兵站が太くて過剰なくらいに整ってるところで、結局そこで物を言うのは人材と国力ってことになるわけですね。
だから、列強と呼ばれる4大国が強いのは当然としても、新興の黒の帝国が恐ろしく強い(連戦連勝で列強を追い詰めたわけだし)のは、ドアーテと呼ばれる帝国独自の操兵群の存在よりも(まあこけおどしにはなりますが)、バックアップが相当にしっかりしているという一点に尽きるわけです。内情をつぶさに見ると、あの国の色別の軍団の組織の完成度と士気の高さが際立って来ます。
黒の軍団のムーン12機(そういうのがおりまして)も、瞬間では一騎当千の力は出せますが、戦いが長期化してしかも補給がなければあっという間に劣化します。強い分、余計に劣化の度合いは激しいはず。

と、そんな感じでこの話続く。

日下部匡俊