聖刻シリーズ初めての方は、『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』などをご覧ください。
聖刻-BEYOND- 絶賛PV公開中!

ワースブレイドの制作に加わったあたりで、それなりに本を読んでいたんですが、その時に初めて味わった感覚が「このまま永遠に読み終わるな」的なものでした。分厚い本でそうだったりすると、残量見て、「まあだこんなに残ってる♡(はあと)」ってにまにましたりして、一人で読んでるんでなかったらちょっと気持ち悪いって周囲に思われたんじゃないかって思います。
幸運にして、人前でそういう感じで本を読んだことはなかったでした。

もうね、『パーンの竜騎士』の『白い竜』とかね。お話自体はいくつかのエピソードの集まりで、あの世界そのものに影響をあたえる大きな仕掛けがあるかと思えばさにあらずって感じなんですが、とにかく自分的には最高に面白かった記憶があります。ていうか繰り返して読んでるし。
かなり偏ってることは認めますが、こういう本って誰しもあるんじゃないかと思うわけです。
デイヴィッド&リー・エディングスのベルガリアード(マロリオン)とか、この時期に出会って影響を受けまくった作品はいくつもありますが、これらのほぼ全てが読みながら「終わるなー」と思わせてくれたものばかりでした。
自分にとっての物語は、終わらないもの、つまり世界という大枠があって、その中で出来事が続いていくものだったんだろうなあといまになって思うわけです。

つまり、少なくともその時点では、自分的に聖刻シリーズ(厳密にはワースブレイド)って相性が抜群によかったってことなんですね。枠組み作ってその中で回していくお話。それをそのまんま再現できたわけですから。
ツキといえばそれまでですが、運も実力のうちなので!(自分ではそんなに運がいい方だとは思ってないんですが、もしかしたらここでもともと少なかったいい運が全部消費されたのかもしれない)

なんてことを、この正月になんとなく考えていたりしたのでした。まあわかりませんが。
なので、短くてピシッとしまった作品そのものは嫌いじゃないんですが、それで世界が閉じちゃうのは残念な気持ちになります。ダメっていうんじゃなくて。
だから『剣の物語』は意識してないのにクソ長い話になりそうな感じなのかもしれません。終わってほしくないんだな。まあそんなの、世間も許さないだろうし、生き物である以上寿命ってもんがあるんで、いつかは絶対に終わっちゃうんですけどね。
まあ、なにはともあれ、まずはお話を始めなければ。いまは真面目にその気持ちでいっぱいなのです。

日下部匡俊