聖刻シリーズをご覧になるのが初めての方は、『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』などをご一読いただければ幸いです。
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貨幣の話の続きっていうか、聖刻石の価値の話です。
聖刻石は聖刻(仮面)を作るために必要な素材です。小さな欠片のようなクズ石ですら、力が宿ってさえいれば金貨何枚の価値があるはずです。もっとかもしれない。これの代わりは他にありませんから。
ところが、聖刻石は必ずしもそれを必要としている人々の近くで採掘されるとは限りません。というわけで、常に聖刻石を求めている工呪会、聖刻教会(アハーン大陸で聖刻を作り出せる技術を独占してる連中)は、そうやって採掘された石を高値で買い取っています。組織そのものが出てくることはなく、下部組織や代理人、さらにその下請けなんかが出てくるのが普通だと思われますが。組織本体が出張っていったら、話が大きくなりすぎますから。操兵が欲しい国々の思惑も絡んだら、きっと面倒なことになるに違いないので。面白そうですね。

既知の鉱脈はおそらく東西の2大組織ががっちり押さえてることでしょうが、聖刻石はいくらあっても困りません。なので、未知の鉱山は常に探しているし、そういう連中が高値で買い取っていると知れれば、聖刻石を見つけた鉱山師はその秘密を独占しようとするに決まってるわけです。
もともと聖刻石の流通量は異常に少ないと言っていいわけですが、それは埋蔵量が少ないこともさることながら、金銀など足下にも及ばない価値があるため、売り手が出し惜しみしているからということもあるわけです。聖刻石に関しては、このままの状況が変わらなければ永遠に売り手市場決定なので、出し惜しみしない売り手の方がむしろ疑わしいくらいと言えましょう。

こんな具合なので、聖刻石の売り買いはそりゃもう裏のかき合い騙し合いになっていくわけでありまして。工呪会や教会は、金銭なんかうなるほど持ってるんで、いくら積んだって痛くもかゆくもないんですが、やりすぎると世間の経済が崩壊しかねないので、そこのところに気を遣って、あえて金を出し惜しむわけです。場合によっては操兵や聖刻器(=マジックアイテム)の形で代価にするくらいで。
そうなんです。操兵の売買に聖刻石や聖刻器なんかを代価として要求する裏には、こういう事情もあったんですね。
操兵の価値ってのは、そのくらい世間の経済状況から乖離した代物ってことで。

でもって、そりゃ聖刻石を貨幣がわりに使えるわけがありません。そもそも流通量が少ないし、こいつは消費されていくものなので、貨幣として使おうなんてしたら、等比級数的に値上がりしていくに決まってるからです。どっかで落ち着くかもしれませんが、どこかで戦争が始まりそうな気配があれば、また跳ね上がること間違いなし(操兵の生産量が増えるから)ですし。

ああしかも聖刻石ってナマモノ(寿命がある。力を出し尽くすとただの石ころ)なので、そりゃ使えませんわ。鮮度大事。

日下部匡俊