聖刻シリーズをご覧になるのが初めての方は、『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』『聖刻シリーズ 基本用語解説』などをご一読いただければ幸いです。
聖刻-BEYOND- PV絶賛公開中! そして、聖刻-BEYOND-大好評発売中です。

例年なら、とっくに花粉も終わりにさしかかって、めでたくマスクから解放されているはずなんですが、東京の西の方はいまだに黄色い煙幕が宙を舞っている状態です(大げさ)。ネットの花粉情報では、いまだに住んでるあたりは真っ赤っかなのです。
確かに薬はきいているので、さほどひどいくしゃみに襲われたりはしませんし、鼻づまりもありません。が、体がかゆい。猛烈にかゆい。特に頭。頭皮が発作的に痒くなる。これはたまりません。
アルコール含んでるのかなあ。揮発性の何かが入った薬もらってべちゃべちゃ頭にかけるんですが、掻きむしった頭にはこれが猛烈に痛い。この痛みで相殺されて痒くなくなる理屈ですが(あと冷やしてくれるのもあるっていうかそっちがメインか)、正直べちゃべちゃになるので使いにくいです。
軟膏でベタベタになって、しかもあんまりきかないってのよりはましか。

ファインドの森が、いつからそんな風になったのかは知られていません。が、とにかくここは強力な結界で、森に親和性のあるものは出入りできますが、そうでないものは拒絶する構造です。
なので、人ならぬ者たちが身を隠す場所としてはうってつけだと言えます。
西方は、人ではない知的存在には非常に暮らしにくい場所です。東方の竜人間とか犬人間とかは、奴隷や観賞用として「普通に」売買されていたりします(奴隷売買が当然というわけではないが、法的には規制されてないって状態)。数はごく少ないですが。だから商品価値があるとも言えるけど。
こういった手合いが西方付近には案外多くて、逃げ出したり、心ある買い手が解放したりして、それらが全部ファインドの森に集まってきている状態です。彼らは森の中で身を寄せ合うようにして集団となり、人間の目を避けて生きているわけですが、それも長くは続きません。
しかも、別に森は差別的な人間から彼らを守ってくれるわけではないので、人ならぬ者たちは森の中でも逃亡の暮らしとなるわけです。
彼らが呼ぶところの白髪の王に出会うまでは。

いくら人数がいるといっても、森の中の彼らはせいぜい数百人というレベルでしかありません。が、森に暮らす人々は多くが南部の国々を追われてきた人間がほとんどで、境遇的には亜人種たちと大差ありません。だいたい人扱いされてこなかったし。
そんなこんなで、森の中の人々は、数万単位に膨れ上がっています。
後のラウ・マーナ王に率いられた亜人種たちが蜂起するまでは、そうした棄民たちはばらばらに暮らしていて、世を恨みながらこのまま朽ち果てるものと思い込んできました。それが、ラウ・マーナ勢とシャルクの小競り合いが噂として伝わるにつれ、森の人々の間に希望が生まれてくることになります。

もちろん、集団が大きくなるにつれ、最初は頼もしい戦友だった亜人種たちは、他の人々との間に軋轢を抱えるようになってはいくのですが、それが顕在化するのはもっとずっと後のことで、その頃には大半の人ならぬ人々は姿を消していました。

日下部匡俊