聖刻世界を一番特徴づけているのは操兵です。こいつは残念ながら、一般人には作れないという設定になっています。ワースブレイド→聖刻1092(聖刻群龍伝)→聖刻の大地の順で作りやすくなっていますが。
ワースブレイドではもう、操兵(の仮面)の製法とかを探り出そうとするだけで命がいくつあっても足りないという状態ですが、1092はそこまでは厳しくなく、大地に至ってはゼロから作る方法が失われているというだけで、取り立てて圧力があるとか、そういうこともありません。厳密にいえば、兵器の技術者が他国に渡るのは困るので、国が操兵鍛冶の行動に制限を加えるだろう、というゆるい設定はありますが。

が、いずれにせよ、操兵は知識や技術を学んでいない人間が、現物を見ただけでは作れないことになっています。なぜなら、そこには「操兵の意思」が絡んでいるからです。
どんなに弱くなっても、操兵は意思を持っています。逆を言えば、操兵に意思が宿らない限り、どんなに高い精度で構造を模倣しても、それはただの物体に過ぎないわけです。ここが操兵(仮面)製作のキモとも言えます。
ではなぜ、大地では材料さえあれば容易に(礎型という原型は必要になるものの)仮面を作り出せるかといえば、それはこの時代の操兵が微弱な力しか持っていないためです。気に食わなければ、自分の意思でちゃぶ台返しができるほどの力はないのです。
1092時代の(普通の)操兵はほどほどに力があるので、もう素人には全く手の出せないレベルで、ワースブレイドの時代ではさらに贅沢に聖刻石を使っている(つまり力が非常に強い)上に、操兵を作っている組織の強力な縛りがあるので、おいそれと手を出せない状況にあるわけです。
実際、1092でも最強の操兵たち〈八の聖刻〉は、物質的な存在より先に聖刻としての意思がある感じなので、仮面が消滅しても復活するという厄介な存在で(『光風の快男児』でハイダルは一度完全に消滅している)、もうこうなると作るとか解析するとかそういうレベルではありません。ある意味神さまと呼んで差し支えがないかも。

日下部匡俊

ちなみに剣の聖刻年代記では、こいつらは(厳密には「八の聖刻」ではないが、同質の存在)対神兵器という位置付けです。誰が作ったのかは知りませんし、そもそも被造物かどうかもわかりませんが。ファンタジーなので、「そういうもの」という位置付けだったりします。
ちなみにこのあたりは、昨日の「お互いの歴史が矛盾していても大丈夫な設定」と絡んできます。