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西方工呪会に比べ、東方聖刻教会はずいぶんオープンな印象を受けます。年代記の中では。
ちなみに年代記の工呪会は超がつく秘密組織で、そもそも公式には工呪会なんて組織はないことになっていたり、主要メンバーは本当に得体の知れない連中ばかりで、年代記の中でもその中の一人が誰かのセリフの中に登場しただけで、どこでなにをしているどういう人間なのかさっぱりわかっていません(オレも)。
それに比べると、聖刻教会の方は、一番えらい人(法王)は人々の前に堂々と出てきますし、教会の操兵鍛冶部門は法王から独立した組織ではないので、たぶん教会のトップは鍛冶部門の秘密は知っていると考えていいと思います。
ここは練法師団も抱えているので、練法師の組織としても世界最大なんですが。

では、西方と違って東方では操兵の秘密がダダ漏れなのかと言えば、なぜかそうでもないのです。
東方には名のある操兵鍛冶が何人もいて、それぞれに一品ものの強操兵を作り出していますが、彼らは仮面まで自分たちで作ってはいません。なぜなら、仮面を作るのはとても大変で、操兵の機体を作る作業とは全く異なる工程が必要だからです。同時に、厳密な意味での秘伝までは知らないということもあります。知ろうとしていないというか。それぞれに職分があって、彼らは操兵の機体担当っていう意識&自負があるんですね。

というわけで、有力な操兵鍛冶たちを警戒する必要はないのです。彼らは、危険や手間を冒してまで仮面を作ることに意味を見出していないので。その気になれば、東方の有力な操兵鍛冶にはそれを実現するリソースも基礎技術もあるんですが、むしろ教えても意地でもやらないっていう。
もちろん、それ以外に操兵の勝手量産を目論む連中は常に存在するので、そうした輩には練法師や僧兵団(≠操兵団)を送り込んで容赦無く叩き潰していますが、工呪会ほど怖くはない(心理的な意味で)ってことですね。工呪会は、そういった野望を抱いた人間をそもそもいなかったことにしちゃいますが、聖刻教会は堂々と叩き潰しにくるので。
どっちにしろ、結果は一緒ですが。

ちなみに、東方では仮面とペアにして半生物の素体を成長させていくという方式で操兵を作り上げます(程よく育ったら、心肺器とかを繋いで全体を鎧って完成。育成には数年から数十年かかる。質を問わなければ数ヶ月というのも近年出てきた)。なので西方の機体とは構造が全く違います。でも、仮面そのものに違いはないようです。というか、仮面は細かく見ていくと、ひとつひとつ全く違っていると言っていい代物なので、洋の東西で区別しても意味がないのです。

日下部匡俊