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聖刻シリーズをご覧になるのが初めての方は、『聖刻シリーズとは』『聖刻日記 #3』『聖刻シリーズ 基本用語解説』などをご一読いただければ幸いです。
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操兵。
そもそも操兵ってどんなものなのか。それについて、図版なんかを交えながら書いてみたいと思います。

まずは『聖刻1092』。
この作品には、主役機(まあ、群像劇でいくつもの話が動いてるんで、これだけが主役と言えるかどうかはともかく)としてニキ・ヴァシュマール、ハイダル・アナンガなどの操兵が登場します。ハイダル・アナンガ
これらの操兵は、物語の舞台であるアハーン大陸最強の白/黒の聖刻たちで、聖刻としての覇権を争いあっています。

白と黒の聖刻たち同士の力は拮抗しているので、彼らが正面からぶつかることは意外に少なく、人間を手先として利用し、互いの均衡を崩そうと図っています(こういう悪そうなことは基本黒の聖刻の得意技と思われがちだが、じつは白の聖刻も結構えぐい)。

まあ、こんな連中は例外中の例外で、操兵たちは人間の手足として作られ、戦い、朽ちていきます。

白と黒の聖刻はともかく、操兵はスーパーロボットではありません。基本的に工業製品ですらなく、扱い方次第で簡単に壊れます。物語の序盤、ヴァシュマールが普通の操兵のふりをしている時なんか、腰に手首とおぼしきものが吊るしてあったりしますが、これは別にこの機体だけの話ではなく、旅をする操兵の多くは壊れやすい部品を持ち歩いているのです。
むしろ、旅の供をしているパラシュ・バラーハ、アビ・ルーパの方がよほどしっかりしていて、操手(乗り手)の腕もあって、予備パーツが見当たりません。彼らは達人なので、簡単に機体を壊さない自信もあってのことでしょう(アビ・ルーパの操手クリシュナ・ラプトゥは大金持ちのボンボンで、西方工呪会という操兵製造の元締めがバックについてるので、黙ってても補給や修理の人間が駆けつけるって話もありますが。というか、両方とも超カスタム機なので、汎用パーツ的なものは使えないと思われます)。

1092の世界では、戦争となれば操兵が千機単位で激突するのは当たり前で、大きな戦いになれば数万の操兵が入り乱れて戦います。これだけの機体が存在するので、世間への普及の度合いも押して知るべしというもので、田舎では存在も知らない人間がいたりしますが、都市部では比較的ありふれたものになっているようです。

こうした鉄の塊のような連中が、中世レベルの文明世界で足音響かせながら闊歩しているわけです。工業製品みたいにつややかな表面処理がなされていたり、エッジが立っていたりなんかしているわけもなく。
粗っぽく削り出されたパーツに、風化してざらっざらの機体に布を巻いて補強したり液漏れ(中を水やら血液という名前のなにかが循環しているのです)防いだりしていて、こんなに数があるのに手作り感満載っていう代物が、目の前を歩き回っていると。
絵的にはマッドマックス・怒りのデスロードあたりを想像していただけると案外ぴったりかも。

日下部匡俊